絵本を手にする坂田朱美さん=2024年4月12日、大阪府高槻市土室町、岡田真実撮影
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 戦争のことは、途切れ途切れに覚えている。あの時代のことを記憶している最後の世代。「子どもたちに伝えたい」。そんな思いで、絵本を自費出版した。

 寄せられた反響は、思いがけないものだった。

 大阪府高槻市の坂田朱美さん(84)は3歳のころ、現在の宮崎県小林市に住んでいた。

 《お祝いの日に掲げる日の丸に囲まれた場所で大人たちが「バンザイ!」を言いながら泣いていました。》

 絵本「私の戦争体験~三歳からの記憶」は、坂田さんが覚えている、一番昔の場面から始まる。

 母と、二つ下の妹と3人で、出征する父を駅まで見送りに行った。

 断片的な記憶。

 「この日の丸がいやに印象に…

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