新たに入居したダンススタジオ兼スクールKILIG DANCE STUDIO(キリグ ダンス スタジオ)=2024年6月27日午後5時半、埼玉県北本市栄、稲垣直人撮影
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 高度成長期に誕生し、いまは高齢化が進む埼玉県北本市の北本団地。シャッター街となった団地の商店街に新たに入居してもらう官民プロジェクトが始まって、この春で4年目に入った。入居は順調に進み、かつてのにぎわいを徐々に取り戻しつつある。

 市などによると、北本団地は1971年に建てられ、計71棟の約2千戸を擁する巨大団地。当初は20~30代の子育て世代が数多く入居した。総敷地面積は東京ドーム五つ分と広大だ。

 しかし現在は少子高齢化で独り暮らしのお年寄りと空き室が増え、団地の高齢化率は4割超と、市内の他の地域より約10ポイント高い。団地に住む児童を受け入れるため、近くに71年にできた市立栄小学校は2021年に閉校している。

 3年前、地元のまちおこし会社「暮らしの編集室」と北本市、団地を管理する独立行政法人・UR都市機構などが組み、商店街の再生プロジェクトをスタート。当時は商店街19区画のうち10区画余りが空いていたという。

 入居希望者との仲介、一部店舗の運営などにあたるのが「暮らしの編集室」。店舗の改装などをするのはUR。そのための資金は、ふるさと納税型クラウドファンディング(CF)を活用し、市が市内外の一般市民から寄付を募って調達している。このCF制度は、一般的なふるさと納税にある返礼品はなく、再生プロジェクトに共鳴した人たちによる寄付。URによると、こうしたプロジェクトは地域密着で活動する民間会社、資金調達を担う地元自治体がいてこそ実現可能で、全国的にも珍しいという。

 21年6月、入居第1号とし…

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