神奈川県大磯町は、いじめに悩む子どもたちが専門家に電話やメール、SNSなどで直接相談できる窓口「大磯こどもいじめ110番(仮称)」を、来春に新設する方針を決めた。相談を受けた専門家がいじめの疑いがあると判断した場合、町長部局と教育委員会でつくる総合教育会議に通報し、町長が教委に調査や報告を求めるという。
7日に開かれた同会議で町側が明らかにした。大磯町では一昨年、町立小学校に通う男児がいじめを受けて転校を余儀なくされた重大事案があり、いじめ防止の体制強化が課題となっている。
町によると、子どもたちに学校の先生や教委以外の相談チャンネルを増やし、より早い段階でのいじめの認知や、埋もれてしまう事案をなくすことが狙い。相談を受けた専門家の助言も得ながら、教委任せではなく、役場をあげて対応していく契機にしたいという。専門家は、いじめ問題に詳しい弁護士やNPO関係者らを想定している。
また、町は「大磯町こどもをいじめから守る条例(仮称)」の策定もめざす。この日に示された素案は前文で、いじめを「命までも奪ってしまう重大な人権侵害であり、絶対に許されない行為」と明記。対象を町立小中学校に通う児童・生徒だけでなく、町内に住むすべての子どもとし、町や教委、学校のほか、保護者や子ども自身にもいじめ禁止・防止の責務を、町民には地域での見守りに努めるなどの役割を定めた。
今後、町民への説明会やパブリックコメントを経たうえで来年の3月議会に条例案を提出し、4月からの施行をめざす。町によると、すでに相模原市、藤沢市、海老名市などには条例があるという。
町政策総務部の藤本道成参事は「いじめは許されないという認識を町民全体に持っていただき、役場全体、町全体で取り組むという強い姿勢を示すための条例制定だ」と話した。(足立朋子)