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「わからないからこそ、わかり合おうとする。そんな時に人は謙虚でいられる」
個人事業主として子育て相談を受けている武馬(たけま)瑠美さん(39)は、そう意識しながら相談者に接している。
自身も幼い子を育てながら4年前に起業。
SNSでは5歳になった娘との日常や、日々の気づきについて発信している。
そんな武馬さんにとって、忘れられない出来事がある。
昨夏、娘が通う幼稚園の園庭開放の日のことだ。
娘が友達4~5人と裸足で走り回っていると、誰かのママが「もう帰るよ~。ほら、靴下はいて」と声をかけた。
みんな帰り支度が始まったが、娘はもっと遊びたくてムスッとしている。
昔から最後まで遊んで「帰りたくない」とひっくり返って泣いていたから、いつも通りのことだった。
「靴下どうする? 自分ではく? ママが手伝う?」
そう声をかけたら、娘はためらいがちな表情で、丸めた靴下を母に向けて投げつけてきた。
この行動に、怒りがこみ上げてきた。
無言のまま靴下を拾い、娘を自転車のチャイルドシートに乗せて帰宅。
自転車をこいでいても、自宅で晩ご飯を作っていても、ムカムカは収まらなかった。
いったいなぜ、自分はこんなに怒っているんだろう?
怒ったり暴言を吐いたりは、子どもによくある行動なのに。
これはきっと娘の問題じゃなくて、母である私の問題だ。
そうやって原因を探るうちに、自らの幼いころの経験に行き着いた。
母から怒られたり何か言われ…