写真・図版
昭和大病院を受診した時の女性の足。発疹が見られる=同院提供

 コロナ禍の2020年9月、東京都の女性(32)は2年前から交際していた研究者の米国人のパートナーと結婚した。その2カ月後、入浴中にふと目についた。

 太ももと足の甲に広がった、赤い膨らみ。じんましんのようだった。

 「見て見て、気持ち悪い」

 日が経つと、赤みは治まったり、また出たりを繰り返した。じんましんと違って、かゆくはなかった。

 ある夜、微熱が出た。朝には下がったが、夜になるとまた発熱した。数日後には38~39度ほどまで上がった。「コロナかな」とも思ったが、やはり朝になると下がる。

 次第に、膝(ひざ)から下が異様にむくむようになった。

 発疹を見つけてから1カ月ほどの間、立て続けに異変が起きていた。じんましんのような発疹は消えず、日中になっても熱は下がらなくなった。足は映画のキャラクターの「マシュマロマン」のようにぱんぱんだった。

 発熱とだるさで寝込んでしまい、英語教室の事務の仕事にも行けなくなった。

 さすがにおかしいのでは。在宅で仕事をしていた夫(36)は、女性の様子を見て不安に襲われた。12月初め、夫は自分のかかりつけの皮膚科を予約し、女性を連れていった。

 「皮膚じゃないね」

 女性の足を見て、医師はその場で大学病院への紹介状を書いた。

 そのころ、女性は高熱で歩くのもふらふら。「何が起きているのか」と考える余裕もなかった。

 12月8日、紹介された昭和大病院の皮膚科を訪れた。検査室で採血し、もうろうとしながら結果を待った。

 「膠原病(こうげんびょう)だと思います」

 ぴんとこない病名だった。

 4日後、改めて紹介された同院のリウマチ膠原病内科を受診した。血液検査の後、はっきりした病名を伝えられた。

 「全身性エリテマトーデス(SLE)でしょう」

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 初めて耳にする病名。膠原病…

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