フィンランド南東部ラッペーンランタにあるヌイヤマ検問所。バーが設置され閉鎖されている=2024年4月23日、森岡みづほ撮影

 バスを20台は止められそうな大型スーパーの駐車場には、一台の車も、人影もなかった。店先には「休業」の文字。この数カ月、ずっとこの状態だという。

 ロシアとの国境に位置する、フィンランド南東部のラッペーンランタ。人口7万人ほどの小さな街に押し寄せていた、ロシアからの買い物客や観光客の姿は、いまはない。

 昨年11月、このスーパーから数百メートルの場所にある国境検問所が突如、閉鎖された。以来、行き来は途絶えた。

ウクライナ侵攻を機に、国境を接するロシアへの警戒感を強める北欧フィンランド。4月にはロシアと接する東側の国境の無期限閉鎖を発表しました。ただ、そこには戸惑う住民もいます。その理由とは。

 原因は、移民の存在だった。昨秋以降、ロシアからフィンランドに入国しようとする移民が急増。多くが中東やアフリカの人たちだった。

 「ロシアが欧州に揺さぶりをかけるため、意図的に移民を送りこんでいる」

 フィンランド政府はそう主張し、ロシアを非難した。

 昨年11月にすべての国境検問所を閉鎖。4月にはその無期限延長を発表した。

 「私の好きなフィンランドは、変わってしまった」

 住民のカーチャ・マロワさん…

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