サッカー教室で、「コーチからボール取れるかな」と小学生をもり立て、ミニゲームを楽しむ小野伸二さん(右)=2024年11月30日、新潟市

 戯れるように自在にサッカーボールを操る。蹴り上げた球を、腰を折って首の後ろの付け根で止めると、「すっげえ!」と小学生がざわめいた。2002年ワールドカップ(W杯)日韓大会で活躍し、欧州でもプレーした元日本代表MFの小野伸二さん(45)。2023年限りで現役を引退し、第二の人生を歩み出した。いま、全国を回ってサッカー教室を開いている。

 昨年11月30日、小野さんの姿は新潟市にあった。「スマイルフットボールツアー」と銘打った小学生向けのサッカー教室だ。全国に60あるJリーグクラブのおひざ元を回る取り組み。同年から始まり、これまで南はFC琉球、北は北海道コンサドーレ札幌まで15カ所を訪れた。

 この日は低学年向け、高学年向けの2部で計3時間ほど、グラウンドで汗を流した。

 サッカーが初めての子はいないか問いかける。手が挙がれば、ボールを蹴るポイントや、落とさずに蹴り続けるリフティングのコツを付きっきりで伝える。ミニゲームでは、ボールを触れていない子を見逃さず、さりげなく、その子の前に優しく転がるパスを送る。

 「親に連れてこられたという子もいるかもしれない。でも、それでいい。楽しかった、と帰ってくれれば」

 別の会場では、こんなことがあった。

 参加していた女の子が、気後…

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