写真・図版
安栖達也被告の初公判があった宇都宮地裁=2024年10月1日午前9時31分、宇都宮市、代表撮影

 栃木県上三川町で昨年10月、車の中から高校1年の女子生徒(当時15)=千葉県柏市=が遺体で発見された事件で、殺人と死体遺棄などの罪に問われた埼玉県熊谷市の無職安栖(やすずみ)達也被告(29)の裁判員裁判の初公判が1日、宇都宮地裁(瀧岡俊文裁判長)であった。検察官が起訴状を朗読し、瀧岡裁判長が「間違っているところありますか」と尋ねると安栖被告は「いえ、ありません」と起訴内容を認めた。

 起訴状などによると、安栖被告は2023年10月17日午後6時50分ごろから午後10時半ごろまでの間、東京都新宿区の有料駐車場に止めたレンタカーの中で女子生徒にわいせつな行為をした上、首を手で締めるなどして殺害したとされる。さらに遺体にタオルをかぶせ、同日午後10時半ごろから、19日午前2時40分ごろまでの間に遺体を栃木県内に運び、同日午前3時10分ごろ、上三川町坂上の路上で遺体を車に乗せたまま遺棄した、とされる。

 安栖被告は黒縁のめがねに黒いジャージー姿で出廷した。

 検察側は冒頭陳述などで、安栖被告が無料通信アプリで女子生徒と知り合ったと主張し、携帯電話で「スーツケースに女性の遺体」などと検索を繰り返していたことなどを挙げた。

 また、県警が携帯電話の通信履歴や位置情報、防犯カメラの解析などで、安栖被告が女子生徒と出会い、上三川町で現行犯逮捕されるまでの動きをたどった様子も説明。同町では警察官が職務質問し、安栖被告は「(殺害については)黙秘します」と答えたとした。

 一方、弁護側は、安栖被告が女子生徒を誘う際に暴力や脅迫は用いず、凶器も準備していないなどと主張。「殺害は衝動的で、反省している」として情状酌量を求めた。

■被害者の母親出廷、娘の思い…

共有