東京大の林香里・理事・副学長=2024年5月20日、東京都文京区、山本知佳撮影

 朝日新聞は国立大80大学を対象に4~5月、学部入試への「女子枠」導入について尋ねる調査を実施した。女子枠を設ける大学が4割に達する見込みとわかったが、東京大はこの調査に唯一回答しなかった。女子学生の割合が少ないことが、長年にわたり問題視されてきた東京大の現状は。

 東大は調査に対し、「入試の多様性について、女子枠以外の選択肢もふくめて、実効的な対応策を検討の最中だ」として、対象大学で唯一、回答しなかった。入試担当の藤垣裕子理事・副学長にインタビューを申し込んだが、同様の理由で実現しなかった。ただ、同大幹部は「いまは授業料値上げの問題が最優先。女子枠の議論は、あと1年は続けることになりそうだ」との見通しを示した。

 藤垣氏は昨年3月の記者会見で、東大でも女子枠の議論は長年続けているとし、「決定するには、データを分析し、将来の展望についても議論する必要がある」と述べた。さらに、「女子枠を設けると、女子学生が反対するという話もある。設けるとなると、さまざまな異なる意見をまとめなくてはならず、現状で議論は収束していない」としていた。

役員の半数以上を女性に

 東大は女子学生の割合が少な…

共有