石川県内で最古とされる古文書「能登国司庁宣」=2025年1月15日、金沢市出羽町、砂山風磨撮影

 奥能登ゆかりの宝物や歴史資料を紹介する二つのテーマ展が石川県立歴史博物館(金沢市出羽町)で開かれている。昨年の地震と豪雨で大きな被害を受けた奥能登地域に伝わる平安~江戸時代の品々計84点が並ぶ。

 「輪島・住吉神社ゆかりの宝物」、「県指定文化財 須須(すず)神社文書を読む」をテーマに、神社2社に焦点をあてる。

 能登半島の北東端に位置する須須神社(同県珠洲市三崎町寺家)所蔵の古文書は、展示の67点のうち57点が県指定文化財だ。平安時代末期に記された古文書「能登国司庁宣」は、県内で確認された最古の年紀(文書を書いた日付)をもつ。

 同神社に付属する寺院だった妙成就(みょうじょうじゅ)院が「御祈願所」と記され、同館の岡崎道子学芸員によると、この表現から、同院が後白河法皇やその周辺人物の庇護(ひご)を受けたと推測されるという。「平安時代末期から、奥能登の地に宗教施設が存在したことを示す貴重な資料だ」と話す。

 加賀藩を治めた前田家とのつながりを示す資料もある。「前田利長書状」には、加賀前田家2代・利長のもとを「三崎の神主」が来訪し、「遠路はるばるよくお越しになった」と記されている。岡崎学芸員によると、書状は利長の直筆とみられるといい、「当時から珠洲が遠く離れた土地だったことがうかがえる」と説明する。

 今回の催しについて、岡崎学芸員は「能登の魅力を再発見し、復興の活力になるとうれしい」と話す。

 16日まで、会期中無休。一般300円、大学生・専門学校生240円、高校生以下無料。問い合わせは同館(076・262・3236)。

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