東京・新橋の公共施設で9月中旬、ある中小企業の労働組合と経営側の団体交渉が開かれた。
この会社は資金繰りが厳しく、給与の支払いが滞る懸念が出ていた。そこで約20人の従業員が8月に労組を結成。経営側に対し、M&Aで親会社となった旧MJG(現・日本製造)に貸したお金を返してもらうよう求めた。
貸し付けの大部分を占める5億円は、昨年5月の株式譲渡契約の前日にMJGへ振り込んだものだ。株式譲渡額は1.5億円で、MJGは買収先から得た資金で株式代金を払い、M&A仲介の報酬もまかなった。
そのような資金を振り込むきっかけは、仲介業界の最大手、日本M&Aセンターの担当者を通じてもたらされた、ある提案だった。
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