月着陸船の実寸大模型とispaceの日達佳嗣さん

 月面探査計画「HAKUTO―R」を進めるispace(アイスペース)の月着陸船が15日午後、打ち上げられた。「開発統括」を務める日達(ひたち)佳嗣さんに、前回の失敗から再挑戦に至るまでのチームの歩みを聞いた。

 2023年4月25日深夜。日本科学未来館(東京都)では、社員や家族、報道陣らが、着陸の時を待つイベントが開かれた。日達さんは登壇して計画を説明した後、最前列の席でスクリーンに映る管制室の様子や着陸船のデータの中継を見守っていた。

 着陸船は、約100キロの距離から減速しながら月面に近づいていった。高度と速度は事前のシミュレーション通り。「順調にいっているな」と考えていた。

 日付が変わり、着陸予定の26日午前1時40分が近づいてきた。

 ミッションが予定通りに進んでいたことから、管制室にいるメンバーの一部はうれしそうだった。だが、深刻そうな表情をしている人の姿も見えた。「何か異常だろうか」

 着陸予定時刻になったが、実際に着陸したかどうかは、管制室が着陸船との通信を確認して判断する。だが連絡はない。

 しばらくして、着陸直前から…

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