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1970年の大阪万博のシンボルだった「太陽の塔」

 大阪府は8日、万博記念公園(吹田市)の「太陽の塔」の価値を技術史や都市計画などの観点から調べた報告書を発表した。報告書は「文化的な景観として価値を有する」などとしており、文化庁に近く提出する。今後はまず国の重要文化財への指定、将来的には世界遺産登録をめざす。

 調査は2021年10月から今年5月に実施。技術、芸術、都市計画の各観点から聞き取りや現地調査をして文化財としての価値を調べ、4人の専門家が所見をまとめた。

 報告書では技術史の観点で、太陽の塔のような大規模建築に当時は珍しいコンクリートの工法を使い、高所で作業するために技術開発も行われたと説明。芸術の面でも、パブリックアートとしても遠くから見えて多数の人々に影響を与え、「特異な存在の仕方をしている」とした。

 都市計画の観点では、万博記念公園は「日本の高度経済成長を次世代に継承する文化的な史跡」と指摘。中央に建てられた太陽の塔は「国土景観で象徴的な意味を持ち、文化的な景観として価値を有する」としている。

 太陽の塔は、1970年大阪万博でプロデューサーを務めた芸術家・岡本太郎氏がつくった。当初は解体予定だったが、万博のシンボルとして保存が決まった。2016年から耐震補強を行い、18年から内部を公開している。

 太陽の塔をめぐっては、松井一郎前知事が将来的な世界遺産登録を目指す方針を表明。20年に国の登録有形文化財に認められた。(箱谷真司)

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