JR大阪駅北西の梅田貨物駅跡地が再開発され、近く一部まちびらきとなる。中心となる広大な都市公園のランドスケープの設計者が、デザインの意図を語った。
再開発地区「グラングリーン大阪」のランドスケープ(景観)のコンセプトは「大阪本来の豊かに潤った大地」。
パリやニューヨークで環境に配慮した持続可能な社会を目指す「グリーンリカバリー(緑の復興)」が活発化している。グラングリーンでも都市機能と一体化した質の高い緑を目指そうと、公園と道路、ビルの「境界」が目立たない統一的なデザインを実現した。
南公園は大きな芝生広場を中心とした都市的な雰囲気。2027年に全体が完成する北公園は、ダイナミックな石積みと水辺が広がる自然あふれる構成とした。南公園の代表的樹種はアカマツ、コナラ、エドヒガンザクラなどで、公園全体では43種、616本の高木を植える予定だ。
米国のランドスケープデザイン事務所とともに設計を手がけた、日建設計ランドスケープ設計部の平山友子さん(44)は、樹木医でもある小松良朗部長(52)とともに、樹木の種類や向き、位置まで細かく調整したという。「3カ月間ほどかけて毎週のように北は福島から南は鹿児島まで、樹木を育てている『圃場(ほじょう)』に何度も出向き、1本1本選定しました」
大阪城公園や淀川にいる鳥類や昆虫の種を調べることにも苦労した。生物多様性を確保しようと、グラングリーンに来る生物の目標種を定めるためで、シジュウカラやウグイス、シオカラトンボ、キアゲハなど56種に決めた。数年ごとに調査する予定だという。
これは環境価値を可視化させる取り組みで、同社は「みどりのものさし」として、温室効果ガスの削減や空気の浄化、温熱環境の改善、雨水流出の抑制などについても計算結果を示している。
例えば、全体まちびらき後の…