試験点灯でライトアップされた大屋根リング=2024年5月21日午後7時37分、大阪市此花区の夢洲、水野義則撮影

 大阪・関西万博には海外から161の国・地域が参加する。万博を、多文化共生や異文化理解に生かすアイデアとは。在日コリアンで外国ルーツの子どもたちの支援を続けてきた市民活動家、金光敏さん(52)に聞いた。

――日本国際博覧会協会(万博協会)は今回の万博の意義について、多様な文化や価値観の交流が進む、と説明します。多文化共生社会の実現という点から、万博の効用をどう見ますか。

 日本政府や大阪府・市によるパビリオンの展示には、正直あまり期待していません。紹介されるのはおそらく、日本の独自技術のほか、一般的に考えられる日本の伝統、固有の習慣などでしょう。日本に朝鮮半島や中国、ブラジルやフィリピンなど、外国ルーツのマイノリティー(少数者)が暮らすことに伴う多文化や、そこから生まれた日本の多様性への肯定的評価は含まれないだろうと想像しています。

 一方で、会場には各国のパビリオンも設けられます。大阪府など多くの自治体が、子どもたちを公費で万博に招待する計画をたてています。学校単位での万博見学ではぜひ、クラスにいる外国ルーツの同級生と関係ある国のパビリオンを見て欲しいです。

――なぜでしょう。

 マイノリティーの子たちは普段、日本社会で自らと出身国の関係性を肯定的にとらえる機会に恵まれていません。母国のパビリオンを見ることは、彼らに自己肯定感を与える絶好の機会になります。

 また、夏休みなどを利用し、日本語以外の母語を話せる高校生たちに、万博会場で通訳ボランティアをしてもらうなど活躍できるチャンスを期待したいです。日本語以外の言語を話せることが価値ある能力なのだと、彼らを励ます効果が期待できます。万博協会がこうしたボランティア活動に修了証を出してくれれば、大学入試の際に、高校在学中の社会活動の実績としてアピールすることもできます。

――日本人の子どもたちのためには、どんな取り組みを求めますか。

■子の学習効果を高めるために…

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