新タマネギは春の味覚の代表選手。生で食べると、ピリッとさわやかな刺激と共に甘みが広がります。皮が茶色い普通のタマネギは収穫後にしばらく乾燥させて日持ちをよくするのですが、新タマネギは収穫したらすぐに出荷、食卓へ。だから新鮮で水分を多く含みます。畑を訪ねてみました。
早い時期の新タマネギ出荷に熱心と聞き、愛知県東海市に向かった。名古屋市の隣、知多半島の最北端にある。
住宅や工場に交じって、タマネギ畑の区画が点々と。畝(うね)には「ポリマルチ」がかかっている。マルチは保温や雑草よけなどの効果がある覆いで、規則的に開けられた穴からは青々としたタマネギの葉が伸びている。スッとした姿は万能ネギに似ている印象。よく見ると、もう、タマネギの玉が土から顔を出していた。
佐治達也さん(50)の畑に案内してもらった。マルチの上から触って玉の大きさを確認し、佐治さんが緑の葉の一番下をつかんで引っ張る。するんと新タマネギが現れる。ところどころ薄い黄色の皮をまとい、白い肌が透けている。
「首が細いものは玉締まりが良いですね」。首とは玉から出た緑の葉の根元部分のこと。ここが太いと玉が太る時期に上の葉に栄養が行きすぎている証拠で、玉はぶかぶかしていることが多いという。
葉を切り落とし、切り口を乾かして出荷する。「買う時は、張りがあって表面がみずみずしい新鮮なものを選ぶといい」
知多半島では明治時代にタマネギが導入された。大消費地に近く、温暖なことから栽培が広がった。通常、新タマネギの収穫は4月から6月。ただ、市場に出す時期が早いほど高価格が期待できる。東海市など5市5町を管内とするJAあいち知多は、収穫時期を早めた、早出しの新タマネギに力を入れている。
出荷は1月上旬から。同JA…