れんがを用いてキャッチングの練習をするデニスさん=2024年10月15日午後4時33分、あいべつ球場、鈴木優香撮影

Be Ambitious!:4 カスンバ・デニスさん ウガンダ→旭川

 冷蔵庫にはぎっしりと食べ物が詰まっていた。中には、即席の袋麺やポテトチップス、クッキーも。一度開けた食べ物は大切に冷蔵庫に入れるのだという。

冷蔵庫から即席のラーメンが出てきた=2024年10月15日午後6時15分、北海道旭川市、鈴木優香撮影

 プロ野球選手になることを夢見て、アフリカ・ウガンダからやってきたカスンバ・デニスさん(21)。今は独立リーグのチーム「旭川ビースターズ」に所属し、寮で暮らす。

 ウガンダの首都カンパラ出身。幼少期に、紛争で父親を亡くし、母親も仕事を探しに出たきり、帰ってこなくなった。祖母に引き取られ、親族8人の暮らしが始まった。

デニスさん(右から3番目)と家族=本人提供

 大黒柱はいない。早朝から、朝食を買うお金を稼ぐために仕事を探す。「早ければ早いほど良い仕事がある。いつも5時起きだった」

 7歳。スラムにトイレを造るために地下45メートルほどの穴を掘る。祖母から「危ないからやめて」と言われたが、自分が稼がなければ、家族は食べられない。

 8歳。食肉処理場で働いていた時、木の棒で石を打つ遊びにはまった。その様子を見た男性に「ウガンダ代表チームを目指さないか? 球場に来たらお金をあげるよ」と言われた。肩がいいと褒められ、仕事の合間を縫って球場で野球を教わるようになった。

 球場には、戦争やエイズで親を失った子どもたちが集まっていた。誰もが、プロ野球選手を夢見ていた。

 夢をかなえたい。パッションを追い求めたい……。そんな思いで、海の向こうから北海道にやってきたYOUたち。次回は中国から白糠町に移住し、老舗レストランの後継者となった女性の物語です。1月20日午後6時、配信予定です。

  • 台湾から知床へ 流氷の美しさに心奪われ 漁師と結婚、自然ガイドに
  • 「愛する妻の母国、日本で」パリの流儀貫く 昭和っぽい仏パン職人
  • 初音ミクとレディー・ガガの共演 仕掛けたドイツ人、いま壮瞥町PR
デニスさんがかつて野球をしていた母国の野球グラウンドのベースは手書きだった=本人提供

 だが、ウガンダでは野球だけ…

共有
Exit mobile version