JR大糸線の糸魚川―白馬を1時間16分で結ぶ臨時バスが6月1日から1日4往復で運行する。北陸新幹線の敦賀までの延伸に合わせ、関西方面からの誘客をはかる狙いだ。大糸線の各駅付近にバスが止まり、途中で乗り換える必要はない。鉄道の乗車券や定期券で乗車できる。来年3月末まで。
沿線自治体やJRでつくる大糸線活性化協議会が9日発表した。協議会によると、北陸新幹線は糸魚川駅に1日13本停車するが、同駅発の大糸線は9本で、接続がスムーズでない列車もある。また、大糸線は単線で行き違いできる場所は限られ、増便も簡単ではない。このため、期間中は新幹線と接続するバスで利便性を上げる。費用約1億2500万円は、国からの補助や、JRと長野、新潟両県、沿線4市村の負担でまかなう。乗降客数やピーク時の利用状況を調べる。
一方、長野県の阿部守一知事は9日の定例会見で、新幹線の延伸により大糸線が「(県の観光にとって)西側からの大きな玄関口になっている」と述べ、県が大糸線の利用促進に協力する姿勢を示した。
大糸線は、糸魚川―南小谷がJR西日本、南小谷―松本がJR東日本と管轄が分かれている。車両も異なり、南小谷駅での乗り換えが必要だ。阿部知事は昨年、個人的に白馬―糸魚川を鉄道で往復しようと考えたが、ルートの一部を車に切り替えたと明かし、「非常に南小谷の接続時間が悪かった」「バス輸送で潜在的な旅客需要を掘り起こすことが重要」と話した。
大糸線は利用者の低迷が課題で、糸魚川―南小谷の2022年度の輸送密度(1キロあたりの1日平均利用者数)は108人にとどまった。(高木文子)