10時間23分続いたフジテレビの記者会見。終わった後に、「フジテレビかわいそう」がX(旧ツイッター)のトレンドになりました。現場では何が起きていたのでしょうか。
AP通信など海外メディアで記者生活を送った後にフリーのビデオジャーナリストとして独立し、数々の記者会見に向き合ってきた神保哲生さんに聞きました。
印象づけられた「記者もひどい」
――27日のフジテレビの記者会見、既存メディアだけでなくフリーランスや海外メディア、ユーチューバーら191媒体437人が出席しました。神保さんもその一人だったそうですね。
何時間も手を挙げて、一度も当てられませんでした。会見が進むうち、「これはフジの策にのるだけになる」と思い直し、途中で離れました。
――どういうことでしょう。
会場脇の大きなテーブルに水のペットボトルが何百本も用意され、400個のパイプ椅子に臨時の電源が引いてありました。「時間無制限、全ての質問を聞くまで会見をやる」と、長期戦覚悟だったわけです。
司会も、「質問は2問まで」と言いながら、実質的に何度も追加質問を許していました。会見が延々と続くことが、最初から決まっていたと感じました。
――閉じられた会見より、オープンな会見はいいことでは?
参加者を限定せず、色々な人を入れ、高齢の役員たちに厳しい質問をぶつけさせる。高飛車な人や無礼な質問があれば、フジにはなお都合がよい。「偉い人たち」が平身低頭耐え続け、その姿を世の中に丸ごと配信すれば、謝っている姿を発信すると共に「メディア側はひどい。あの態度、質問はないだろう」と印象づけられます。
「巧妙なダメージコントロールだった」
あの状況で会見を開けば、本…