表彰状を手に喜びを語る大島高校の貴島邦伸校長(右)と事務局長の中渡瀬将之教諭=2025年3月7日午後2時56分、鹿児島県奄美市名瀬の県立大島高校、神田和明撮影

 鹿児島県奄美群島の全ての高校9校と大学など8機関が参加する組織「奄美群島高校探究コンソーシアム」が、学校をとりまく課題解決の取り組みを表彰する「NITS(ニッツ)大賞」で、最高賞となる大賞に選ばれた。離島共通の悩みを解決しようと、奄美でしかできない高大連携や高校間交流のしくみを創設したことが高く評価された。

 NITS大賞は、独立行政法人教職員支援機構(NITS、茨城県つくば市)が主催する学校改善のコンテスト。表彰を通して優れた取り組みを教育現場へ普及させる狙いがある。8回目の今回は、「子供一人一人が輝ける場となるように~教師の働きがいを再構築する学校づくり~」のテーマで、全国から93点の応募があり、平田オリザ・芸術文化観光専門職大学長や山極寿一・総合地球環境学研究所長ら6人の委員による審査を経て、大賞など11点が選ばれ、7日に発表された。

 受賞した「コンソーシアム」は、生徒が主体的に課題を設定する「総合的な探究の時間」を大学などの研究者にサポートしてもらうために設立された。奄美群島に大学はないが、豊かな自然や独自の文化・伝統を研究するため様々な大学から研究者が来島することに着目。大学側にコンソーシアムへの参加を呼びかけ、支援可能な研究者約60人のデータベースを作成・共有した。これが継続的な関係の土台となり、各高校が大学の研究者から探究活動への助言を受けやすくなった。

 2024年3月には、各校の代表が集まって成果を発表し、研究者らから助言を受ける「高校生サミットin奄美」を奄美市で初開催。地元自治体や企業などからも支援を受け、生徒同士も親睦を深めた。

 応募のタイトルは「オール奄美で取り組む人財育成~南北200km奄美の高大連携及び高校間交流~」。審査委員は「離島という地理的条件下で視点を転換し、奄美群島だからこそできる交流の形を構築した」「地方の高校に勇気を与える実践」などと評価した。事務局の県立大島高校(奄美市)の貴島邦伸校長は「地域の支援の輪も広がり、オール奄美でいただいた賞」と喜んだ。

 応募書類と審査時のプレゼンテーション動画はNITSのホームページ(https://www.nits.go.jp/award/outline/008.html)で公開されている。19日には大島高校で2回目の「高校生サミット」が開かれる。

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