県立民博の収蔵庫で唐犂コレクションの保管状況を確認する河野通明さん(右)=2024年12月5日、奈良県大和郡山市矢田町、今井邦彦撮影

 奈良県内で昭和中期まで使われた牛耕具「唐犂(からすき)」は、7世紀の「大化の改新」で導入され、約1300年間、そのままの形で使われたのではないか。そんな大胆な説を唱える歴史学者が今月上旬、同県大和郡山市の県立民俗博物館(県立民博)を訪れ、研究の原点になったコレクションと再会した。

 その歴史学者は大阪府東大阪市に住む河野(こうの)通明・神奈川大学名誉教授(86)。民俗資料として収集された近現代の農具から、古代の農業の姿を復元する研究に取り組んでいる。1981年から近畿各地の民俗博物館・資料館が収集している農具の研究を始め、次第にフィールドを全国に広げていった。

 県立民博が収蔵する県有形民俗文化財「奈良県の牛耕用具」の中には、県内から集めた60点の唐犂コレクションがある。

「よくぞ集めてくれた」

 河野さんは研究を始めた初期…

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