丸井グループが26歳の社員向けに実施した研修=2024年8月23日午後3時41分、東京都中野区、高橋諒子撮影

 現役世代が2040年には今の8割に減る「8がけ社会」に向け、人材の争奪戦はより激しくなりそうだ。「働きたい」、そして「働き続けたい」と思ってもらうためには、何が必要なのか。大手企業の取り組みを探った。

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「将来を考えやすい職場」へ

 伊藤忠商事(東京都)では、2013年に「朝型勤務制度」を導入した。午前7時50分までに勤務を始めた場合は、深夜と同じ割増賃金(25%)を支給。午前8時までは朝食を無料で提供している。

 仕事の効率を高めるため、午後8時以降の残業を「原則禁止」、午後10時以降を「禁止」に。22年からは、午後3時に早帰りすることも認め、より柔軟な働き方ができるようにした。

 昨年11月28日には、東京本社を視察に訪れた福岡資麿厚生労働相と女性社員が意見を交わした。

 08年入社の古賀弘子さんは、同僚の夫と出社と退社の時間をずらし、3歳と5歳の子どもの送り迎えをやりくりしていると話した。「経営層は早く来て、早く帰りやすい雰囲気を作ってくれている」という。

 20年入社の吉川真優さんは、子どもの発熱といった急な家庭の事情があっても、在宅勤務や早帰りで対応している先輩の姿を見て、「将来を考えやすい職場」だと感じていると語った。

 16年に入社した細井知音さんは、こうした制度が社内で定着していることが、志望動機の一つになったという。「いろんな商社があるなかで、他とは違うことを他よりも先にやっているところに会社の魅力を感じた」

 執行役員で人事・総務部長の垣見俊之さんによると、03年から女性活躍推進に取り組んできたが、「会社の風土や意識が伴わないなかで無理してやってきた」。そこで、「男性も含めた働き方を変えないといけない」と、10年から働き方改革を強化したという。

 その効果もあり、10年度に…

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