M9バズーカを装備した警察予備隊隊員=1951年10月11日

 「我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく、複雑なものになっている」。木原稔防衛相は25日の記者会見でこう語り、自衛隊創設70年を振り返りながら、「抑止力となる反撃能力は、国民の命や暮らしを守り抜くのに今後不可欠となる能力だ」と強調した。

 日本は戦後、連合国軍総司令部(GHQ)により武装解除され、憲法で「戦力」を持たない平和国家であることを宣言した。だが、1950年に朝鮮戦争が勃発し、最高司令官マッカーサーが警察予備隊の創設を指示。これが54年に自衛隊に改組され、日本再軍備の基盤となった。

 「自衛隊変貌(へんぼう)の大きな転機となった」(外務省幹部)と、政治家や官僚の多くから指摘されるのが、イラクによるクウェート侵攻を受けた91年の湾岸戦争だ。日本は多国籍軍側に130億ドルの多額の資金提供をしたが、米国を含む国際社会から感謝されず、日本の経済急成長への皮肉も込めて「小切手外交」と揶揄(やゆ)された。

 これは「湾岸のトラウマ」と…

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