埼玉県所沢市で10月に起きた強盗致傷事件で、県警などの合同捜査本部は2日、新たに愛知県知多市日長、会社員名倉優也容疑者(31)を住居侵入と強盗致傷容疑で逮捕し、発表した。SNS上で闇バイトを募集し、応募者を現場近くまで派遣する「リクルーター」役とみられるという。首都圏で相次ぐ強盗事件で、リクルーター役の逮捕は初めて。
捜査関係者によると、名倉容疑者は「金に困ってやった」、所沢の事件の実行犯たちを「(上位の者に)紹介した」などと供述しているという。
県警捜査1課によると、逮捕容疑は、他の人物らと共謀して実行役の男3人をメッセージアプリを通じてそそのかし、強盗をする決意をさせ、10月1日未明に3人を所沢市の住宅に侵入させて80代の夫婦を縛るなどし、現金約16万円などを奪ったというもの。
スマートフォンで使っていたアプリの解析結果などから、名倉容疑者を特定したという。
捜査関係者によると、名倉容疑者は匿名性の高いアプリ「シグナル」と「テレグラム」を使用して、実行役に「ホワイト案件」「物品の運び」「リスクはない」などと伝え、現場近くまで向かわせたとみられるという。県警は、強盗をする際の具体的な指示は別の人物がしたとみている。
所沢の事件を巡っては、これまでに実行役とみられる20~40代の男4人が住居侵入と強盗致傷の罪で逮捕・起訴されたほか、奪われたクレジットカードを使ってショルダーバッグ(販売価格34万8千円)を買おうとしたとして20代の男が詐欺未遂容疑で逮捕されている。
また2日には東京都葛飾区の住宅で強盗致傷事件が発生。住人の手首などを粘着テープで縛り、顔を殴るといった暴行を加えて現金を奪うなどしたとして、警視庁は同日、住所・職業不詳の自称山内裕太容疑者(29)を強盗致傷の疑いで現行犯逮捕した。「X(旧ツイッター)で知り合った人から空き巣に入るよう指示された」と供述しており、同庁は一連の強盗事件との関連を調べる。(浅田朋範、藤田大道)