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日吉亨教育長に要望書を手渡す「共学ネット・さいたま」世話人の松島温子さんら=さいたま市浦和区の埼玉県庁

 埼玉県立の男女別学高校について「主体的に共学化を推進する」とした県教育委員会の方針に対し、市民団体「共学ネット・さいたま」が25日、今年度中に担当部署を設け、共学化を計画的に進めることなどを県教委に要望した。

 要望は、共学化を進めるための担当部署(プロジェクトチーム)の設置や、全12校の共学化を完了する最終期限を早急に定めて計画的に推進すること、教職員への「性の多様性」研修の実施――など6項目。共学ネットの世話人、松島温子さん(73)が日吉亨教育長に手渡した。日吉教育長は「参考にしながら検討していきたい」と応じた。

 共学ネットは同日、県庁で記者会見し、県教委の共学化方針は「実効性に疑問が残る」と訴えた。世話人の阪本真一さん(61)は、共学化を完了する期限の目安について、「宮城など共学化を実現した他県の例から、10年が妥当だと考えている」と述べた。世話人の千田潤子さん(73)は、「別学校への『ニーズ』ではなく、性別で入学を制限しないという人権を優先し、共学化を推進する部署には、人権の担当課を入れて欲しい」と強調した。

 男女別学校をめぐっては、県の第三者機関である男女共同参画苦情処理委員が昨年8月、「早期の共学化」を勧告。県教委は今年8月、「共学化を主体的に推進する」という報告を出したが、具体的な計画は明記されていなかった。(杉原里美)

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