
いつ、どこで起きるか分からない自然災害で被災した文化財を、迅速に救い出したい――。国立文化財機構文化財防災センター(奈良市)と文化財活用センター(東京都台東区)は11日、地震や津波、豪雨などの災害で被災した文化財を救う活動のためのクラウドファンディング(CF)を始めた。
「地域の宝をみんなで守る 文化財防災・救援プロジェクト2025」と名付け、目標金額は500万円。資材調達や輸送費、専門家の派遣費など初動対応に使われる。募集は6月9日まで。
文化財防災センターの小谷竜介・文化財防災統括リーダーによれば、近所の寺の仏像や祭りのときに担いだ神輿(みこし)などの文化財は地域社会の人と人をつなぐ象徴で、地域の文化財を救うことは復興を進める上でも重要とされている。
水にぬれた文化財は、放っておけばカビの発生など劣化が進むため、マイナス40度の冷凍庫に保管するなどの初動対応が必要だ。だが、緊急時に国や自治体の予算措置を待たずに救援に着手するための資金は十分ではない。センターは2023年3月に文化財防災救援基金をつくり、今回、その財源の一部をCFで募ることにした。
支援コースは3千円~150万円。文化財防災をイメージした猫のキャラクターをつくり、オリジナル軍手や、宮城県石巻市のすずりの石で知られる雄勝(おがつ)石のオリジナルプレートなどの返礼品を用意した。
小谷さんは「文化財を一つでも多く救うとともに、身近な文化財に目を向け、『文化財防災』の取り組みを多くの方に知って欲しい」と話す。
申し込みはCFサービス「READYFOR(レディーフォー)」のプロジェクトページ(https://readyfor.jp/projects/bunbou2025)から。問い合わせは文化財防災センター([email protected]
)へ。