鳥取市内では、県知事を経て参院議員を務めた石破氏の父・二朗氏の銅像が街を見下ろしている。住民の一人は「将来、この隣に石破さんの銅像が建つかもしれませんね」=2024年9月30日午後4時6分、鳥取市富安、二階堂友紀撮影

 鳥取砂丘に近い鳥取市福部町(ふくべちょう)の畑に、青々とした葉が広がる。小さなつぼみは、秋が深まると、ラベンダーのような花をつける。らっきょうだ。

 「今年は残暑が厳しかったから、花が咲くのは11月かな」と、浜湯山(はまゆやま)らっきょう組合の生産組合長、香川恵(めぐむ)さん(74)。

 この町を含む衆院鳥取1区は、1日に鳥取県選出で初の首相となった石破茂氏(67)の地元だ。

 昨年9月時点の有権者数は約22万7千人と、全国で最も少ない。参院では鳥取と島根が合区され、一つの選挙区になった。

らっきょう畑を案内する香川恵さん。秋が深まると、紫色の花が咲く=2024年9月29日午前11時13分、鳥取市福部町、二階堂友紀撮影

 香川さんはバスの運転手などをしながら、家族でらっきょうを作ってきた。石破氏の遠戚にあたり、地元の親族らでつくる後援会「盤山(ばんさん)会」の一員でもある。

 初代地方創生相も務めた石破氏が、こう語るのを何度も聞いた。

 「鳥取は50年後、どうなっているか分からない。人口が半減すれば、県として成り立たなくなる。そうならないために何が必要か、ああしたい、こうしたいと自ら提案してくれ。そうすれば応援できる」

 そんな言葉に応えるように、香川さんらは2016年、地域の名産品を登録して保護する国の制度を使い、「鳥取砂丘らっきょう」「ふくべ砂丘らっきょう」を売り出した。

 登録に尽力してもらったお礼のため、地域の皆で上京すると、石破氏は「良かった、良かった」と喜んだという。

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