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バイオテロの脅威に備えるため、厚生労働省は2024年度の補正予算で、「地下鉄サリン事件」の被害者の紙のカルテを電子化する事業に400万円を計上した。紙のカルテを貴重な資料として今後も保存し、当時の医療関係者にインタビューするオーラルヒストリーも実施する。
1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件では、猛毒のサリンによって14人が亡くなり、6千人以上が重軽症を負った。厚労省によると、現時点で約1千人分の紙のカルテが残っているという。ただ、義務づけられているカルテの保存期間は5年で、今後、医療機関が閉鎖するなどした場合、カルテが散逸してしまう可能性がある。
新事業では、紙のカルテをスキャンして電子化し、当時治療にあたった医師や看護師などの医療従事者にもインタビューしてそれを記録・保存する。オーラルヒストリーについては、医療者の参考になるように公開する方向で検討している。
新事業に先立って、厚労省の研究班は2019年から3年間、バイオテロに備えるために貴重な資料の保存方法を検討してきた。厚労省は22年度から800万円の予算を要望していたが、予算が計上されたのは今回が初めて。研究班は、消防や警察など、医療者以外の幅広い関係者にインタビューすることも提案しているが、まずは医療者に限って実施する。