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神奈川県警は17日、横浜市磯子区に住む会社経営の50代男性が、架空請求詐欺で現金など計約3億2千万円の被害に遭ったと発表した。県内の特殊詐欺被害では最高額になるという。
磯子署によると、男性は犯人から指示されたお金を工面するため、会社の土地と建物を売却。生命保険を解約して3千万円を用意、消費者金融から1100万円の借金もしたという。
要求に応え続けて資産が底をつくと、犯人らから「金を下ろす仕事をしろ」と命じられ、自身の銀行口座に振り込まれた約1千万円を引き出して、箱に入れて発送。署の不正送金の捜査で、口座名義人として男性が浮上したことから、今回の被害が明らかになったという。
発表によると、男性は昨年1~6月、内閣サイバーセキュリティセンターの関係者を名乗る男らから「あなたの電話がサイバー攻撃に使われ、92人の被害が出た。多額の賠償金が必要」などと電話で言われた。その後、別の男から「供託金を宅配で送る必要がある。会社や土地を売却して資産を用意するように」などと指示され、13回に分けて東京都内の個人宛てに現金を発送。76回に分けて指定された個人名義の口座にも現金を送金し、計約3億2千万円を詐取された。同時期にさらに別の男から電子マネー140万円相当もだまし取られたという。男性は「裁判を起こされたくないとの思いから、指示に従った」と説明しているという。