国際連盟は失敗だったか

100年をたどる旅~未来のための近現代史~⑩国際連盟は失敗だったか

 二つの世界大戦に挟まれた20年間を戦間期という。この戦間期に新しい平和の時代を築こうとしたのが、世界最初の国際平和機構である国際連盟だった。第2次世界大戦を防げなかったことから、失敗の烙印(らくいん)を押されることも多いが、篠原初枝・早稲田大学教授は、その功績にも目を向けるべきではないかと話す。

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 ――戦間期とはどのような時代だったのでしょうか。

 「異なる力や文化を持つ国家で構成される国際関係において、諸国が組織や制度、規範を機能させ国際平和を試みた時代だったのではないか。もちろん戦間期以前の19世紀末からハーグ平和会議のような国際会議が開かれ、戦時国際法などに関する条約が結ばれていた。しかし当時はまだ、戦争は国家の権利であるという前提があった」

 「戦間期には、この前提に疑問が投げかけられた。国際連盟が設立され、不戦条約が結ばれた。あからさまな武力行使によって領土を拡大することはやめようという規範が生まれようとしていた」

 ――なぜでしょうか。

 「第1次世界大戦という総力戦を経験したからだ。30カ国以上が参戦し、戦車や潜水艦、航空機などの新兵器が使われた。4年以上にわたり塹壕(ざんごう)戦も戦われ、市街地では多くの一般市民が巻き込まれた。戦争の悲惨さを目の当たりにしたことが大きい」

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 ――具体的にはどんなことが戦間期に試みられたのでしょうか。

 「1920年に国際連盟がス…

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