2030 SDGsで変える

 国連は9月22、23日、地球規模の課題に対する国際協力を強化するためにニューヨークの本部で「未来サミット」を開きました。SDGs(持続可能な開発目標)の重要性が改めて確認されるなかで注目を集めたのは、若者の参画です。日本から参加した人たちと課題を考えました。(編集委員・北郷美由紀)

国際協力を強化する56の行動 将来世代を視野に

 未来サミットでは国際協力を強化する56の行動を示した「未来のための協定」が賛成多数で採択された。持続可能な開発と開発のための資金▽国際の平和と安全▽科学・技術・イノベーション・デジタル協力▽若者および将来世代▽グローバル・ガバナンスの変革という5章で構成されている。

 さらに付属文書として、人工知能(AI)の適切な利用を進める「グローバル・デジタル・コンパクト」、今世紀中に100億人と見込まれるこれから生まれてくる人に持続可能な社会を残す「将来世代に関する宣言」も採択された。

 国際協力の第1の柱と位置づけられているSDGsだが、コロナ危機で多くの取り組みが後退したこともあり、全部で169あるターゲット(小目標)のうち推移を評価できる135項目で軌道に乗っているものは17%しかない。「協定」ではこの遅れを取り戻すために、途上国に必要な資金を提供することや貧困の解消を中心に据えること、ジェンダー平等の実現を急ぐことなどを盛り込んだ。

 さらに重要性が強調されたのは、若者の「意味のある参画」だ。背景には世界の人口の半分は30歳未満なのに、議会などの意思決定の場には0.3%しか代表されていないという事情がある。国連は今回、サミットに先駆けて2日間、各国の若者が議論や交流をはかることができる「アクションデー」を開催。日本からも十数人の若者が参加した。

意思決定の場に加わる課題 そもそも席がない?

 ハワイの高校生やドイツの大学生と自分たちの意見を届ける難しさを話し合ったのは、岩佐教育文化財団の支援で渡航した6人の大学生だ。東北大学4年の川和(かわわ)ニコラさん(21)は、「日本では若い世代が少なく、意見が反映されにくい」ともどかしさを吐露した。

 持続可能な社会に向けたジャ…

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