
「日本最後の大型工業団地」の苫小牧東部地域(苫東)が「ラピダス特需」に沸いている。団地への進出企業は急増、関係者は希望を抱く。ラピダスは、国主導で最先端半導体の国産化を目指しており、製造業が弱い北海道経済を変える可能性もある。ただ、苫東は1970年代に重化学工業基地化という国策で造成されたが、石油危機やバブル崩壊で頓挫したという苦い経験もある。今度こそ国策は実を結ぶのか――。
苫東を巨大な重化学工業基地にする、この壮大な構想は政府の69年の第二次全国総合開発計画の目玉プロジェクトだった。72年には苫小牧東部開発株式会社が用地の分譲を始めたが、石油危機や円高に伴う産業構造調整もあって立地は難航した。苫東には北海道電力苫東厚真発電所や石油備蓄基地、自動車関連工場などが進出したものの、JR山手線の内側の1・7倍の敷地の多くは未利用地のままだった。
95年には開発計画を見直し…