森トラストが取得した有栖川宮旧邸=2024年5月31日午後4時2分、京都市上京区、木子慎太郎撮影
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 森トラスト(東京都港区)は31日、学校法人・平安女学院(京都市上京区)から「有栖川宮旧邸有栖館」(同)を取得したと発表した。国の登録有形文化財の建物が含まれており、今後の活用について森トラストは「検討中」としている。

 有栖川宮旧邸有栖館は旧皇族・有栖川宮の邸宅で、明治時代の建築。当初は京都御苑内の建礼門前にあり、京都裁判所の仮庁舎として使用された後、京都地方裁判所所長宿舎の一部として京都御苑の西側の現在地に移築された。

 約2150平方メートルの敷地に書院造りの主屋(約374平方メートル)、烏丸通側の青天門、下立売通側の長屋門があり、いずれも国の登録有形文化財だ。幕末から大正にかけての公家屋敷や高級官舎の当時の様相を伝えている。2008年に平安女学院が国から取得し、春や秋に特別公開されてきた。

 平安女学院によると、大学の定員割れが起こるなど厳しい経営環境が続く中での財政基盤の強化が売却の主な理由だ。来年が創立150年でもあり、新たな投資に向けた資金が必要として今年1月から売却を検討。複数の企業が手を挙げ、入札で森トラストに決定した。売却額は数十億円で、資金は設備投資と財務基盤の強化に使う予定という。

 森トラストは「歴史的価値のある建造物として、京都の景観に資する保全・活用を検討してまいります」としている。京都市文化財保護課によると、文化財の所有者が変更した場合は、届け出が必要になる。同課の担当者は「文化財として価値を保ち、活用や保存していただけるように協議したい」と話している。(北村有樹子、木子慎太郎、才本淳子)

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