タラ・ザーラさん

デモクラシーと戦争 インタビュー編④ タラ・ザーラさん

 世界でいま、多くの国が自国第一主義を掲げる。移民や難民の排斥を求めるポピュリズムが席巻している。しかし、アメリカの歴史家でシカゴ大のタラ・ザーラ教授によると、こうした動きは歴史上繰り返し生まれてきたという。著書『Against The World』(邦訳はみすず書房から今年刊行予定)の中で、戦間期の「反グローバリズム」を検証したザーラ教授に話を聞いた。

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 ――著書の最後に2016年のトランプ氏の大統領当選が執筆のきっかけだったとあります。

 「移民に焦点を当てた単著を書き終えた頃です。トランプ大統領が誕生し、イギリスは国民投票でEU(欧州連合)を離脱、反移民を掲げるポピュリスト的な政党や政府が台頭していました。移民に対する不安がグローバリゼーションへの恐怖と結びついているのではと感じました」

 「私は戦間期という時代について書き、教えてきましたが、この時代をファシズムや権威主義と民主主義の戦いとしてだけでなく、グローバリゼーション、そしてグローバリズムの未来をめぐる戦いの時代として考えてみようと思いました」

 ――当時はグローバリズムという言葉はありませんでしたよね。

 「確かに当時の人は『グローバリズム』という言葉自体は使っていませんでしたが、世界貿易や相互依存、大量の移民について話していました。そして、反グローバリゼーションに関連するものとして、『経済的自立』や『自給自足』といった言葉があり、加えて、反移民的な表現も多く使われました」

 ――どのような反グローバリゼーションの動きがあったのでしょうか。

 「19世紀後半から20世紀…

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