写真・図版
「日本代表」という目標を掲げる品川圭佑さん=2024年10月31日、山口県下関市東大和町2丁目、山野拓郎撮影

 10月に佐賀県で開かれた国民スポーツ大会ボウリング少年男子個人で、下関中等教育学校(下関市彦島老町2丁目)4年の品川圭佑さん(16)が、2179点の大会新記録で全国制覇を果たした。

 10月下旬、下関市の下関ロイヤルボウル。練習中の品川さんがストライクを連発していた。

 指先を入念に乾かし、15ポンド(約6.8キロ)のボールを持って集中力を高める。ゆったりしたフォームから一転、力強くバックスイング。放たれたボールは、まるで意思を持っているかのようにレーンにカーブを描いた。

 保育園児のころ、家庭用ゲーム機のソフトでボウリングに興味を持った。「ゲームで、ピンが一斉に倒れたときの音がすごく気持ちよくて、本物で音を感じたくなりました」。小学2年からボウリング場で練習を始めた。

 全日本小学生ボウリング4年生男子の部で6位、全日本高校ボウリング選手権で7位など実績を積み上げてきたが、国スポはひと味違った。

 「ものすごい応援。他の大会と比べて圧がすごくて、プレッシャーがずっとかかっていたが、なんとか乗り越えることができた。これまでの経験が力になりました」。大会新記録をたたえて他県の選手から握手を求められ、友情も芽生えたという。

 ボウリングの魅力は「他にたとえようがないが、ピンが倒れたときの気持ちよさ。スカッとストレスが吹っ飛ぶような感じ」と表現する。自身の強みは「スペアをきちんと取ってロースコアを出さないこと」と語る。

 「ボウリングって1ピン、2ピンの差で順位が変わってしまう世界。スペアを一つ取れなかったことが負けにつながることもある」。1投目からスコアを気にせず、特定のピンだけを狙って倒し続ける練習を繰り返してきた。

 大会前はほぼ毎日、普段は週4回程度、2~3時間練習に打ち込んでいる。そのほかにも、自宅でボールを投げずにフォームの練習をする「シャドーボウリング」を欠かさない。「ボールを持ったときの手の感触が重要」だと語り、マイボールに触れて感触を忘れないよう努めている。

 大会には複数のマイボールをかばんに詰めて持っていく。ボールによって曲がり方の特徴などが一つひとつ異なるといい、レーンのコンディションも見極めて使い分ける。

 数学が得意で、学業とボウリングの両立も課題の一つ。何事も「すぐやる」をモットーに無駄な時間を作らず、犬の散歩さえ体力強化のトレーニングと位置づけている。

 夢はボウリングの日本代表。アジア大会など「もっといろいろな舞台で活躍できる選手になりたい」。(山野拓郎)

◆yabは12日午後6時15分からの「Jチャンやまぐち」で放送予定です。

     ◇

 〈国民スポーツ大会〉 毎年、都道府県持ち回りで開催される国内最大のスポーツの祭典。1946年に国民体育大会(国体)として始まった。2018年に改正スポーツ基本法が国会で成立したことを受けて名称が変わり、略称は国スポになった。今秋、名称変更後初の大会が佐賀で開かれた。

共有