2014年9月27日昼前、御嶽山の王滝頂上付近の山小屋には支配人の男性とスタッフの計2人がいた。昼食の準備をしていると、「シュー」という音とともに灰や煙が入り込み、真っ暗になった。噴火だ。外にいた登山者たちが逃げ込んでくる。熱風が吹き込む。「このままでは危ない」。約1時間後、男性は自ら下した決断について登山者に告げた。「山をおります」
山小屋「王滝頂上山荘」で支配人を務めていた正沢功さん(56)はあの日、調理場でまかない用の昼食を準備していた。
突然、ガタンという音とともに、隣の部屋にいたスタッフの叫び声が聞こえた。窓から火山灰や噴煙が入ってきた。硫化水素ガスの独特な臭いと熱さ。テレビは噴火を速報していた。
続く噴火音、建物も揺れた
やがて王滝頂上周辺にいた登…