夏の吹奏楽コンクールで完全燃焼した後、いよいよ大学受験の勉強を本格化させるという高校3年生も多い。音楽系以外の大学・学部学科で、吹奏楽の経験を生かせるのはオーケストラや楽団といった課外活動ぐらいなのか。
否! 実は東京工業大(東京都)には、卒業に必要な単位を取れる教養科目に「吹奏楽」がある。記者が授業をのぞきに行くと、スパルタ育ちの元吹奏楽部員も、未経験者も一堂に会して笑いがあふれる練習光景が広がっていた。
7月上旬、夕方の東工大大岡山キャンパス。楽器を抱えた学生ら約50人がホールに続々と向かっていく。この日は前期の授業の終盤で、同22日に締めくくりの演奏会を学内で開くのに向けて、全体の音を合わせる練習があった。
演目のうち数曲は、指揮も学生が担う。授業はまず、学生が指揮台に立ち演奏をリード。「全体的に軽快に」「出航の合図のようなイメージで」と自身の演奏プランを少し照れながらもしっかりと言葉にして伝えていた。
経験値ばらばらでも
科目担当の高尾隆教授は、学…