昨年1年間の「出動」回数は78回、聴衆は延べ約2万8千人。愛媛県警音楽隊は、毎週のようにどこかで吹奏楽の響きを届ける。松山東署の地域指導課に所属して音楽活動もする、バストロンボーン奏者・正岡弥花(みか)巡査長(27)と、トランペット奏者・宮武孝充警部補(47)に隊員の日常を語ってもらった。
――音楽隊の日常を教えてください
正岡さん クラシカルな名曲からあいみょんや米津玄師らのヒットソング、「忍たま乱太郎」の主題歌「勇気100%」などのアニソンまで幅広い年代に楽しんでもらえる曲目を用意し、大ホールから学校体育館、商業施設、離島の公共施設と様々な場所に演奏にうかがいます。年間で50曲種以上になります。
宮武さん お年寄りが多い会場では、プログラムに「サウンド・オブ・ミュージック・メドレー」などの古い映画音楽や演歌、服部良一メドレーといった懐メロを組み入れたりしますね。
珍しい場所で演奏する機会もあります。久万高原町の森林の中、鳥の声や川のせせらぎが聞こえる所で地元の高校生と一緒に演奏したときは、すがすがしい気持ちになりました。
交通安全や防犯のイベントで現地に行くと、地元署に「『音楽が聞けるなら』と多くの方が集まってくれる」と喜ばれます。これだけいろいろな地域で公演するのは、警察音楽隊しかないんじゃないかと思います。
正岡さん 学校に呼ばれたときは、必ず派遣先の校歌を編曲して児童らと一緒に演奏します。演奏以外にも、男女の隊員がポンポンを手にダンスして、会場を盛り上げることもあります。
宮武さん 春と秋に県美術館前で開く「プロムナードコンサート」では最初に県民歌「愛媛の歌」(中田喜直作曲)を演奏しますが、私が独唱を担当します。楽器のソロより目立ちます(笑)。楽しみにしてくださるファンの方もおられ、応援のお手紙をいただいたこともあります。
年に一度、四国4県の警察音楽隊による演奏会も開かれ、今年は愛媛でありました。100人近くの合同演奏で大曲にチャレンジできる機会でもあり、他県の音楽隊の演奏からは大いに刺激を受けています。
勤務の6割が音楽活動
――四国のプロオケは香川県に「瀬戸フィルハーモニー交響楽団」しかなく、音楽隊は演奏活動が仕事の、音楽好きにとっては貴重な働き先だと思います。入隊の経緯を教えてください
宮武さん 兄の影響で吹奏楽…