長野県立美術館(長野市)の館長に今年春、東京都写真美術館などで学芸員を務めた笠原美智子さん(66)が就任した。フェミニズムの視点に立った展覧会を、国内で先駆けて企画してきた笠原さん。どんな美術館をめざすのか聞いた。
大事にしてきた企画上の「立場」
――「現代美術、現代写真が専門で、ごてごてのフェミニスト」。4月の就任初日の記者会見での自己紹介が印象的でした。
写真が専門の学芸員は少なく、そのなかでジェンダーを取り上げる人は多くない。フェミニストを「怖いおばさん」と考える人もいるだろう。日本では、けっしていいイメージではないかもしれない。
でも、キュレーター(展覧会の企画者)がどういう立場で展覧会を企画しているかは大事なこと。私はキュレーターとして活動を始めた1990年代から「どういう立場で発信しているのか」を表明してきた。女性がいかに生きるか、精神的にも経済的にもどのようにして自立するかは社会的に重要な課題だったけれど、自分自身の問題でもあったので。
――フェミニズムやジェンダーの視点から国内の先駆けとなる展覧会を企画してきました。
ジェンダーやフェミニズムの…