日本や米国、ドイツにも工場をつくることを決めた半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)。世界に誇る「虎の子」にも見える台湾の半導体産業が海外展開を広げ、中国以外の、民主主義の国々と連合を組もうとしている。
中国との緊張が高まり、台湾有事を心配する声もあるなか、経済安全保障の観点からみるとどうなのか。台湾の呉釗燮(ウーチャオシエ)外交部長(外相)が4月中旬、台湾や日本、韓国、インドなど一部メディアに対して開いた記者会見で、台湾外交の「切り札」ともいえる半導体戦略について語った。
- 「台湾有事」が起きたら…世界に分散する半導体工場、背景に米の戦略
――高い技術を持つTSMCが海外に出ることは、台湾にとってどんな意味があるのでしょう。
TSMC(の製造拠点)が世界に広がっています。台湾の半導体産業を空洞化させるとの意見もありますが、違います。最先端半導体の90%は台湾でつくられていて、新竹や台南などのサイエンスパークには、半導体の設計から素材、試験、パッケージなどあらゆる関連産業が集積しています。
さらにTSMCは、これからも最先端の半導体を台湾でつくり続けるため、研究開発など台湾での投資を加速させています。台湾の企業が海外に進出したからといって、ほかの国がこうした産業の集積をまねることは極めて困難です。
「信頼できる民主主義の国と組む」
――TSMCの海外進出は台湾にとって、どんな利点があるのでしょう。
日本や米国、韓国、インドな…