
島根県の高校生2人が、釣り餌「KURO NO PREMIUM」(仮称)を開発した。材料は、ゴキブリだ。
島根県立矢上高校(邑南町)2年の林田悠良(ゆら)さん(17)と1年の鈴木輝跡(きせき)さん(16)はともに生物好き。ゴキブリに触るのも抵抗はなく、鈴木さんは「かまないし、可愛げがある」。林田さんも高校の寮にゴキブリが出ても殺さずに屋外に放すといい、「いなくてもよい生き物は存在しない。好き嫌いで、出てきたら殺すというだけではなく、活用してイメージアップしたかった」と話す。
2人は、県内の高校生が社会的課題に挑む昨年の「しまね未来共創チャレンジ」(一般財団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」など主催)に、プロジェクト名「『害虫』だけで終わらせない『あの虫』工房」として応募。採用され、活動支援金10万円を得て経営者や専門家らの協力を受けながらゴキブリを有効活用するプロジェクトに取り組んだ。
当初はゴキブリを原料にした肥料を作ろうと考えていたが、専門家から「十分な量の確保が難しい」「成分分析が必要になる」との助言があった。においが強いことを伝えると、釣り餌もいいのではと提案されて切り替えた。
2人は実験用ゴキブリ約340匹を購入、飼育しながら釣り餌作りに取り組んだ。ゴキブリをミキサーでペースト状にし、つなぎとしてコーンスターチを混ぜた。県内の港で実際にサビキ釣りの餌として試したところ、アジなどが釣れたという。
仮のパッケージも作った。誰にも愛されるようにゴキブリの絵を可愛くデザインした。
2人のプロジェクトは、チャレンジに参加した16組中、最高賞の「みらチャレAWARD」を獲得。プロジェクトに参加した各高校の生徒らが互選で選ぶ高校生特別賞も受賞した。
林田さんは「同じ世代にも刺さったというのがうれしい。純粋に、すごいと思ってもらえたんだと思う」と満足げに語る。プロジェクトに興味を持ってくれる企業が現れれば、商品化までこぎつけたいという。