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「3S1K」と呼ばれる小学校がある住宅街=2024年12月22日、東京都文京区白山、中村英一郎撮影

 中学受験する子どもの割合が高いことで知られる「3S1K」と呼ばれる小学校をはじめ、東京都文京区の公立小に通う外国籍の子どもが増えている。中でも目立つのが、中国人の子どもたちだ。訪日観光客が商品を大量購入する「爆買い」になぞらえて、「爆入学」なるワードも。背景に何があるのか。

不動産購入が急増、半分が「現金一括」購入

 「インターネットで教育の雰囲気が良いって聞いて。子どものために引っ越してきました」

 同じ中国人の夫と結婚し、板橋区に住んでいたという40代の会社員女性は5年ほど前、文京区の戸建てに引っ越した。娘(9)が通うのは、「3S1K」と呼ばれる区立小の一つ。昭和、誠之(せいし)、千駄木、窪町の頭文字で、東京大学やお茶の水女子大学などに近い「都内屈指の文教エリア」にあり、中学受験する児童が多いことで知られる。女性の娘も中学受験をめざし、区内の進学塾に通っているという。

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文京区の「3S1K」と呼ばれる小学校があるエリア

 地元の播磨坂不動産によると、ここ数年、区内のマンションや戸建てを買う中国人が急増。現在、顧客の3割ほどが中国人で、細かなニーズに対応するため中国人スタッフも3人いる。全国的に不動産価格が上がるなか、「3S1K」の学区エリアでは、60~70平方メートルの中古マンションの販売価格が1億円を超えることも。日本で働く裕福な中国人が「資産になる」と相次いで購入し、半分ほどが「現金一括」で支払うという。

中学受験の「低倍率」も背景に?

 「3S1K」を含む同区の区立小に通う外国籍児童は増えている。同区教育委員会によると、2019年は194人だったが、24年は467人と2倍以上に(いずれも5月1日時点)。区は国籍別の統計はとっていないが、区から1人1台貸与されるタブレット端末の使用上のルールなど、ホームページにある一部の情報を中国語で掲載している学校もある。

 就職や転勤などで来日した中…

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