2025年の角界のキーワードは「横綱」だ。74代横綱になるのは、綱のDNAを受け継ぐ者か、出世街道を突き進む大器か。昇進レースはにわかに活気づいている。
- 「辛抱できれば」 耐えた琴桜が初の賜杯 祖父を追いかけ綱とりへ
「未知数なので想像はつかないですけど。もうやるしかない。覚悟を決めてやるだけです」
昨年11月の九州場所で初優勝を果たした大関琴桜は、番付の頂点へ駆け上がる決意を口にした。この1月の初場所で、初めての綱とりに挑む。
佐渡ケ嶽部屋で生まれ育った27歳にとって、横綱と言えば、母方の祖父。53代横綱の琴桜だ。
祖父は、立ち合いのぶちかましの激しさから「猛牛」の異名を取り、32歳で最高位にたどり着いた苦労人。普段は優しかったが、勝負事になると一変した。子どもの頃の相撲大会で2位になっても、「誰かに負けたんだろ」と褒められなかった。
「大関になったら『琴桜』のしこ名を継ぐ」。琴桜は昨年、生前の祖父との約束を実現させた。夢には続きがあった。「この世界に入った以上、先代(祖父の地位)に追いつく」
番付は、勝ち越せば上がり、負け越せば下がる。その枚数は他者の成績との兼ね合い。「相対評価」で変化する。だが、大関、横綱への昇進となると話は別だ。絶対的な強さだけが見定められる。
明確な基準はない。関脇から大関へは、過去の昇進者の成績から「直近3場所を三役で計33勝」が目安とされる。大関から横綱への昇進は、そのタイミングでの強さがより問われる。横綱審議委員会は内規でこう定める。
「大関で2場所連続優勝した力士を推薦することを原則とする」「それに準ずる好成績を挙げた力士を推薦する場合は、出席委員の3分の2以上の決議が必要」
直近の横綱3人は連続優勝せずに昇進しており、60代横綱双羽黒のように優勝未経験で昇進した例もある。
近年は昇進に苦しむ大関が多いのも実情だ。
15日制下でみると、195…