判決後に会見する原告側弁護士ら=2024年12月3日、札幌市中央区、上保晃平撮影

 「被疑者の人権を軽視した取り調べに、裁判所がお墨付きを与えた判決として利用される恐れがある」。原告側訴訟代理人の吉田康紀弁護士はそう懸念する。

 北海道警に逮捕され、その後不起訴処分(嫌疑不十分)になった女性と担当弁護士が黙秘権などを侵害されたと訴えた国賠訴訟。札幌地裁(布施雄士裁判長)は3日、原告側の請求を一部認めたが、取り調べ時の警察官の発言については「捜査権の行使の範囲を逸脱していない」とした。

  • 被疑者ノートの持ち去りは違法 黙秘権侵害など一部認める 札幌地裁

 女性は2021年6月、当時2歳だった息子に対する監禁容疑で道警に緊急逮捕された。息子は翌日に死亡。女性はもう一人の原告、河西宏樹弁護士や吉田弁護士と相談し、黙秘することにした。

 地裁が開示を命じ、公開された取り調べ映像によると、警察官は黙秘が女性の不利益になるという趣旨の発言を繰り返し、亡くなった息子について「自分の子どもなんでしょ? それともいらない子だったの? だから何もしゃべんないのかい?」などと述べていた。

 地裁は、切々と話しかけるよ…

共有
Exit mobile version