政治資金規正法改正案に対する質疑が行われた参院政治改革特別委=2024年6月11日午後3時41分、岩下毅撮影
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 自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正案には、政治資金収支報告書のデジタル化が盛り込まれた。自民は透明性の向上だと強調するが、国会議員のカネの流れを長年、チェックしてきた専門家らからは、かえって不透明になるとの懸念が出ている。

 「デジタル化を通して、資金の移動を透明化させていくことが、何より重要だ」。10日の参院決算委員会で岸田文雄首相はこう胸を張った。自民は収支報告書のデジタル化を、政治家への厳罰化や外部監査の強化とならぶ、再発防止策の3本柱の一つに位置づける。

 現状は努力義務にとどまるオンライン提出だが、改正案ではこれを義務化する。期待されるのは検索性の向上だ。今回の裏金事件は、「しんぶん赤旗日曜版」の報道をきっかけに、神戸学院大学の上脇博之教授がパーティー券を買った業界の政治団体と、安倍派の政治団体の収支報告書を一つひとつ手作業で照らし合わせ、刑事告発につなげた。上脇氏は取材に、検索機能が付加されれば「効率的な調査ができる」と語る。

具体的な機能は未定

 ただ、自民の法案提出者は1…

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