noteに「クリームイエローの海と春キャベツのある家」を書く初期段階から書籍化まで使っていたノート=せやま南天さん提供

 神奈川在住の元システムエンジニア・せやま南天さん。

 主婦で2児の母、そして新たに「小説家」という肩書が加わった。

 「クリームイエローの海と春キャベツのある家」

 noteが実施した「創作大賞2023」で朝日新聞出版賞を受賞し、今年4月に書籍化された。

 システムエンジニアを辞めた後、noteでエッセーを書き始めた。

 読んだ本の感想や小説も書くようになり、3年目にして作家デビュー。

 幼いころは書くことが好きだったが、ずっと続けてきたわけではない。

 コロナ禍の少し前、忘れていた過去を思い出させてくれた出来事があった。

 友人から頼まれ、結婚式でスピーチをした時のことだ。

スピーチを終えて自席へ戻ると

 周りに壁を作りがちで「友人と呼べる友人はほとんどいない」というせやまさん。

 数少ない友の中で、親友から結婚式のスピーチを頼まれた。

 小学生のころに出会い、キャップをかぶって走り回る姿を見て、男の子だと勘違い。

 中学時代は同じ管弦楽部に入り、一緒にオーケストラに打ち込んだ。

 走り回っていた彼女が、今では美しい花嫁に。

 その流れを、物語のような文章にまとめた。

 喫茶店の端っこに何時間も居座り、鼻水が垂れるほど泣きながら書いた。

 本番で読み上げる時は、オーケストラで指揮者をしていたからか、あまり緊張しなかった。

 スピーチを終えて自席へ戻る…

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