日本の原子力発祥の地である茨城県東海村は、日本原子力発電東海第二原発が停止中にもかかわらず、健全な財政状況を維持している。財政の豊かさを示す「財政力指数」は県内トップで、数少ない地方交付税の不交付団体でもある。なぜなのか。

日本原子力発電の東海第二発電所。奥は東海村のまちなみ=2021年3月17日午前、茨城県東海村、朝日新聞社ヘリから、遠藤啓生撮影

 最新の2022年度決算などによると、一般会計の歳入は約210億円で、このうち村税が約117億円。村税の大半を占める固定資産税は約78億円で、原電や村内に複数の研究施設を有する日本原子力研究開発機構など、原子力関係10法人分が約30億円を占める。固定資産税における「原子力マネー」の割合は38・5%だった。

 そのほか、都市計画税や法人村民税も含めると原子力関係法人からの税収は計約34億円となり、約117億円の村税全体に占める割合は29・1%だ。

 歳入全体における原子力マネーは、1970年代から続く「電源三法交付金」もある。2011年の東日本大震災と福島第一原発事故もあり、東海第二原発は停止しているが、「みなし運転」として交付金が出ている。12年度以降、金額は横ばいどころか増加傾向だ。

 22年度の交付金は約15億円。東海第二原発は1978年11月の運転開始から46年近く経つ。資源エネルギー庁や村によると、原子炉が古くなるほど交付金が増額される経年加算があるため、交付金が増えるという。

 県から得る支出金の中にも、「原子力地域振興事業費補助金」という項目がある。県が県内の原子炉を設置する事業者などを対象に使用済み核燃料について課税しており、年間12億円を超える税収がある。その一部として22年度は約7300万円が村に補助された。

 さらに、村の財政を支える大…

共有