スパリゾートハワイアンズのフラガール60期生となり、同期生たちと入社後の初レッスンを受ける沢田梨花さん(中央)=2024年4月16日、福島県いわき市の常磐音楽舞踊学院、西堀岳路撮影
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 福島県浪江町で生まれた女性は、5歳のころに東京電力福島第一原発事故で家族とともに、郡山市へ避難した。友達もおらず、激変した環境下で、幼い心の支えとなったのが、習い始めたばかりのフラだったという。女性はこの春、スパリゾートハワイアンズ(いわき市)のフラガールになった。

 4月16日、社員研修を終えた60期生の5人が、フラガールの養成機関となっている常磐音楽舞踊学院で初めてのレッスンに臨んだ。「もっと手を長く見せるようにしなさい」。1期生から教え続けている学院最高顧問のカレイナニ早川さん(92)から、曲の物語を表現する手の動きや、ステップなど基礎を仕込まれた。

 そのなかの一人、郡山市の沢田梨花(さわたりんか)さん(18)は「今までフラガールになった実感がありませんでしたが、やっと道に一歩入ることができた気がします」とほほえんだ。

 原発事故後、親に連れられて「放射能が低い」とされる場所を求めて避難所を転々とし、郡山市へ。同市内でも何度か引っ越した。なぜひんぱんに移動するのかわからず、いずれ保育園の友達がいる浪江へ帰れると思っていた。

 親から何と説明されたかの記憶はない。ただ、どこかの避難所で、少しだけ配給されたおにぎりを母親が小さく分けていたことを覚えている。

 郡山で幼稚園に通い始めたが…

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