朝日新聞が原発30キロ圏の156自治体に実施したアンケートで、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)がある県内では県と7市町のうち、美里町の相沢清一町長が、避難計画の見直しについて「必要」と答えた。政権が再稼働のみならず新増設にすら進む中、自民党員でもある相沢氏は再稼働に「反対」を明言する。11月ごろに予定される女川2号機の再稼働を前に、考えを聞いた。
綿密な計画に
――避難計画の見直しを「必要」とし、見直す必要があるポイントに「真夏や真冬の屋内退避における暑さ、寒さ対策」や「屋内退避中の水や食料の確保」などを選んだ
美里町で30キロ圏内に入るのは町の外れのエリアで、30世帯の約100人。ただ、避難するのは本当にそこだけでいいのか。福島の事故を見れば、同心円を描いて30キロでばっさり切るのは単なる机上の空論だ。そう考え、美里町では町全体を対象とした避難計画をつくってきた。
私が判断して、山形県最上地方の8市町村に広域避難する覚書も結んでいる。ただ、町全体の避難計画は大まかなもので、綿密ではない。女川が再稼働すれば、当然綿密な計画にしていかなければならないと思っている。
能登半島地震では北陸電力志賀原発の避難路が寸断された。色んな観点から考えていかないと安心安全を担保することができず、避難計画の見直しは必要だと考える。
――避難計画の作成に関して、政府に求めたいことは
そもそも原発がなければ避難計画はいらない。原子力政策を推進する政府が、避難計画の実行性(実効性)が担保されるよう、ハード・ソフト面の整備を主導して行うべきだ。
PAZ(5キロ圏内)とUPZ(5~30キロ圏内)では発言力に大きな差もある。我々UPZは、会議で意見もあまり出せない。そうではなく、広く県全体を含めた住民の安心安全に向け、国にはしっかりした支援をしてほしい。
時間かけた安全対策に思うこと
――原発の新増設や運転期間の延長などの政府の方針については、どう考えるか
原発は脱炭素でクリーンなエネルギーだと言って、国はいまや水を得た魚のように進んでいる。福島の事故の検証も、避難計画もままならない中で、性急すぎるのではないか。
そもそも太陽光など再生可能…