水俣病の原因企業チッソの加害責任を追及した、約半世紀前の水俣病1次訴訟を理論面で支えた「幻の書」が復活することになった。出版資金の一部をクラウドファンディング(CF)で募集している。

 復活するのは「水俣病にたいする企業の責任 チッソの不法行為」。1968年にチッソの排水に含まれていたメチル水銀が水俣病の原因と国が認定したことから、患者やその家族がチッソに損害賠償を求めて1969年に提訴した。同書は裁判の過程でできあがった。

 「国が公害認定したのだから、チッソの賠償責任は当然認められる」とみる向きもあったが、そうではなかった。チッソは「工場排水が原因で水俣病が発生するとはまったく予見できなかった」とし、過失はなかったと主張した。

チッソの過失認めさせる秘策は…

 過失を問うには予見可能性の立証が必要というのが通説で、多くの法律学者は「チッソの過失を認めさせるのは困難」と見立てた。裁判所から「過失論」の主張を求められても、原告弁護団は有効な書面が出せずにいた。

 状況を打開するために「水俣…

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